世界中で空コンテナが不足している

 自社は輸出にコンテナを用いているため、今夏以降の空コンテナの供給不足化に懸念を抱いています。そもそも何故このような状況に陥ってしまったかと考えてみるに、いくつかの要因がみられます。

1.新型コロナウィルスの流行による物流の減少

 一番大きな原因はやはりウィルスが関係していると思われます。昨年末以降猛威を振う新型コロナウィルスが、最も全世界で警戒されまた対応策が実施されたのは今年の冬から春にかけてだったと回述します、乱暴に言って外出せずひたすら自宅で経済活動をする、というのがその主な施策だったと思います。

 日本国内においてはそれにより大方の営業職、事務職はテレワーク化が増進され、また需要の減少も相まって製造業などは制限的な稼働、もしくは一時停止の状態を被りました。それに合わせて、物流の便数も減りました。これがコンテナのケースにあてはまります。

 コンテナ便の場合、たとえば日本から荷物を積込みシンガポールへ送るとします。そうするとシンガポールで荷揚げされ、空のコンテナが次の用途に使用されます。これはシンガポールでの輸出かもしれませんし、マレーシアからの出荷になるかもしれません。もしマレーシアからとなれば、マレーシア内に保管されている空コンテナを使用するか、当のコンテナをマレーシアまで運ぶ必要があります。このようにして荷積コンテナと空荷コンテナが世界中を循環しているのですが、今年は様子が違いました。

2.製品製造の中国集中

 事実の如何はともかく、中国はウィルスの発見段階から大掛かりな対策を施し、今ではその封じ込みにほぼ成功しているとまで言われています。ウィルス発症地と言われている武漢ではかなり厳格なロックダウンも行われました。ただ念のためもう一度言いますが、事実の如何はともかく、です。ですが、ともかく、そのために中国の生産工場はほぼウィルス流行前と同様に稼働しています。例えばベトナムなどの工場で生産していた会社などは、一時的にでも中国へオーダーを回します、そのようにして中国全土へのオーダーが集中します。それにより輸出高が増加し空コンテナ不足へ傾いていきました。それがだいたい7月から8月にかけてで、振り返るとそのあたりから空コンテナが中国内で不足し始め、近隣国から集められるようになっていきます。

3.海上運賃の問題

 有限なはずの空コンテナが、どうして中国に優先して送られるのか。その答えは単純に儲かるから、です。ちょうど先日アメリカ向けのコンテナの海上運賃が史上最高を記録しましたが、つまりそういうことです。アジア圏内を一往復するよりも、アメリカ間を一往復、よもや一片道でもしたほうが儲かり、その差額の乖離が尋常ではありません。具体的には、日本からバンコクまで40フィートコンテナを輸送するに500ドル程度ですが、アメリカのロサンジェルス港までですと今現在4,000ドル近くまで値上がりしているそうです。もちろん輸送期間の長短を加味しても、この金額差には驚かざるを得ません。この状況は、10月の中国の国慶節における連休前に顕在化し、アメリカのクリスマス商戦が落ち着くまで続く見通しです。

 また、同じことが旧正月前にも起こるとみられ、その後海上運賃を含め諸々の状況は沈静化していくと思われますが、これもウィルスの影響次第かもしれません。

4.アメリカ荷役の遅延

 もう一点、ウィルス対策の弊害としてもたらされたのが輸入国であるアメリカの荷役の遅延です。先に挙げたテレワーク化により、極力現場の従業員数は減らされ、それは実務の遅れとなって現れています。港湾内の人間が減り、国内輸送のドライバーが減り、また荷物の受け手側においても人間が減り。それは結果的に空のコンテナの循環の鈍化を招いています。そしてそれは日本の片隅の小さな自社にも大きく影響しているのでした。。

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